細菌感染症の一つ梅毒の放置は危険

梅毒の放置は危険と言っている医師
細菌感染症の一つに梅毒があります。梅毒の原因は、トレポネーマというスピロヘータ科の細菌に感染することです。感染経路は第一に性交渉が挙げられるため、性感染症のひとつであると位置づけられています。
しかし、性交渉だけでなく経胎盤感染という、妊娠中や出産時の母子感染による先天性梅毒も存在します。
15世紀頃の資料には、梅毒に関する記述のあるものも確認されており、長い歴史のある病気であることがわかります。
1943年にペニシリンという抗生物質による治療方法が功を奏して以来、梅毒の発生は激減していますが、各国で複数回の再流行が見られることも事実です。
日本における現在の梅毒患者数は、感染症法による調査が開始されて以来最も多いとされています。
実際に感染症発生動向を見ると、2006年度で約110名であった患者数が、2016年には1600人以上となっており、この10年間で急激に増加したことがわかります。

では、梅毒の症状はいつからどういったものが出現するのかについてこれから説明していきます。梅毒の潜伏期間は約3週間です。梅毒の場合、感染からの期間と主な症状によって1期から4期に分類されます。
1期は感染から3週~3ヶ月までを指し、陰茎や外陰部を中心に痛みを伴わない硬いかたまりのようなものができ、リンパ節が腫れるといった症状が出ます。この1期に出る皮疹は自然に消失するため、放置されてしまい早期発見ができないケースがあります。
2期は感染から6週~1年を指し、バラ疹という比較的淡い色の発疹や、赤みがはっきりとした盛り上がりのある丘疹が全身あるいは掌、そして足の裏に出現します。
また、肛門外陰部に扁平コンジロームができたり、時に髄膜炎や肝炎、腎炎などを併発したりすることがあります。2期が過ぎると1~3年程度、症状が目立たない無症候期に入ります。この無症候期では時に2期の症状が再燃してくることが知られています。
3期は感染から3~10年と10年以降で出現する症状が異なりますが、2期と比較すると重篤なものになります。3~10年では皮膚や肝臓、骨などにゴム腫といわれるゴムのような弾性をもつ腫瘍ができます。
ゴム腫の大きさは様々ですが、一つにまとまる傾向があるため、まれに鶏の卵よりも大きくなる症例も存在します。そして感染から10年以降では、大動脈炎や大動脈瘤、進行麻痺ならびに関節破壊などの重篤な症状が出現します。
感染から10年以降の症例では、難聴や視力障害を伴っているケースも見られます。
このように梅毒は、初期には気にならないような症状でも、放置してしまうことで重い症状を呈してしまう危険な病気です。

梅毒は早期発見と治療が大切!治療方法を知っておこう

梅毒は比較的症状が軽いうちに早期発見をし、早めに治療できることが望ましい病気です。ですが、治らない病気ではありません。そこで、これから梅毒の治療方法についてお話します。
梅毒は先ほどお伝えした通り初期にはリンパ節の腫れや風邪のような症状が出現するため、梅毒の感染に心当たりのある場合は、ご自身で市販の風邪薬で対処せず医療機関を受診しましょう。
治療ではペニシリン系の抗生物質が使用されます。具体的な治療薬の名称は、サワシリンなどです。
サワシリンは、性感染症としての梅毒だけでなく、経胎盤感染を予防する目的でも使用される治療薬です。妊娠18週以前に母体に治療を行うと、胎児感染が防止できるとされています。

また、18週以降でも同様にペニシリン系の抗生物質を使った治療が行われます。
ここで、サワシリンによる治療を受ける際に気をつけることについて見ていきましょう。サワシリンはペニシリン系の抗生物質のため、ペニシリンアレルギーのかたには使えません。
治療前にペニシリンアレルギーがわかっている場合は、テトラサイクリンまたはセフトリアキソンといった別の抗生物質を用いるため、必ず事前に主治医に相談して下さい。
抗生物質は適切な血中濃度を保つことで充分な効果を発揮します。多くの量を内服したからといって高い効果を得られるわけではありません。感染がおさまるまでは内服を続けることも必要になります。
自己判断で内服をやめてしまうと、薬剤耐性菌が出現し抗生物質が効かなくなる場合もあるため、医師の指示があるまでやめないようにします。
サワシリンによる副作用として比較的多いのは下痢です。これは、サワシリンの抗菌作用により腸内環境に乱れが生じるために起こります。
軟便になる程度では様子を見ていても良いですが、ひどい下痢が続き苦痛な場合には、早めに受診し医師に相談しましょう。また、ごくまれにサワシリンの内服後に蕁麻疹が出るかたがいます。この場合も次回の診察を待たず速やかに受診して下さい。
梅毒は早期に治療できるほど、治療期間が短くて済む傾向にあります。そのため心配なできごとや症状がある時には、早めに医療機関に相談しましょう。